「もっと遠くに円盤を飛ばしたい!」
円盤投げが上達してきた選手は誰しもが願うことです。

しかし、円盤を遠くに投げるためにはどうすれば良いのかということに関しては、漠然と『重心移動を気を付ける』『回転のスピードを速める』ということだけを考えてはいないでしょうか。

円盤投げを上達させたければ、物理的な理屈を理解するのが近道です。

そこで、今回は円盤投げを投擲する際の角度やターンの角度について科学的に考察をしていきたいと思います。


1.物理的に見たリリース時に適した角度

円盤をリリースする際、円盤が飛ぶ距離は速度と円盤がどの程度の角度で投げられるかで決まります。

それでは、どれくらいの角度でリリースをすると円盤は飛んでいくのでしょうか。

物理学的に求めていきたいと思います。

初速度をv0、投げたときの時刻をt0、着地する時の時刻をt2とし、水平方向の距離をLとします。

すると、水平方向の距離は等速度運動のため、

L=t2×v0cosθ

で求められます。

これは小学校の時から算数で解いてきた、距離=時間×速さの式ですね。水平方向の速さなので、v0cosθと少し複雑になっています。θがリリースの時の地面からの角度になります。

これを重力加速度gと三角関数の2倍角の公式を利用して式変形していくと、

L=v0^2sin(2θ)/g

が得られます。

この式から、水平距離Lが最大になるのはsin(2θ)が最大の値になる時ですので、sin(2θ)=1になる角度を導き出すと、

2θ=90°
θ=45°

となります。

高校の数学を使った式ですので、ちょっと難しいですね。

つまり、円盤は純粋な力学だけを考えると、リリース時の角度を45度とした時が最も飛んでいく角度ということになります。

ですが、この理論は真空中で、他に何も力が働いていない状態のケースです。

実際には、円盤にかかってくる力は、飛行中の空気抵抗などを考えなければならないのでもっと複雑になります。

結果的に、円盤投げの最適なリリース時の角度は45m~60mを飛ばす選手では35~40度が最も適しているとされています。(Hey 1985)

これは、式にしてみるよりも、実際に円盤を投げてみた方が分かりやすいと思います。




円盤の角度が急すぎますと、風に当たる円盤の平面の面積が増えるので、その分の抵抗を受けます。
反対に角度が緩い方が、円盤の平面にあたる風が少なくなります。

ですが、円盤は低すぎても距離は投げられませんし、空気の抵抗を考えるとあまり円盤に角度はつけられません。

そのバランスが上手くとれる角度というのが、35~40度ということになるのだそうです。

空気抵抗がある分、力学的に求めた投擲の最適角度から5~10度程度下がるのだ、という認識で良さそうです。


2.リリース時の体の角度

それでは、円盤投げでリリース時に40度くらいで投げられるようにするには、体の角度はどれ位にするのが理想なのでしょうか。

円盤投げは、円盤を利き手で持ち、体の真横にピンと腕を伸ばして持ちます。
棒立ちで円盤を持って立ってみると、円盤を持った腕は地面と平行になる角度になります。

この手の位置は、力が出しやすいというのもありますが、遠心力を得るためには体から円盤までの距離が最大になるようにするのが理想的だからです。

ですから、リリースの時に35度~40度になるよう、最後のターンの体の角度も同じように角度をつけてあげる必要があります。


3.遠くに投げるための体やリリースの角度のまとめ

物理的なアプローチから円盤投げのリリース時の最適な角度について考察をしました。

式から、円盤投げを上達させるためには、単純に円盤を高く投げてもダメだということが分かったと思います。

実際には空気抵抗があるので、45度よりも低い角度の方が円盤を遠くに飛ばすことが出来ます。

この角度は、45m~60mを飛ばす選手では35~40度とされていて、リリース時にこの角度になるよう、リリース前のターン動作に角度をつけてあげる必要があります。

厄介なことに、この最適角度は風の状態でも変わってきます。

例えば、向かい風の時は上昇していく円盤に浮力がかかってきますので、想定よりも高めに飛ぶと考えた方が良いでしょう。

このように、円盤投げにはインテリジェンスな面があります。
そんなところにも魅力を感じている方も多いのでしょうね。