初心者のための「砲丸投げ」が上達する突き出しのやり方について記述します。


1.砲丸投げの突き出しの練習方法

砲丸が軽くなる分だけスピードアップが必要なため、更に軽い3kgの砲丸(注)を投げますが、砲丸が手から離れる時に最大のスピードを得るには、突き出しの筋力をアップすることにより、パワーアップした分だけリラックスできると信じて、スピーディでパワフルなフォームを目指します。

(注)3kgの砲丸は、6.3kgのハンマーをガスレンジで加熱し、内部の鉛を抜いて砂を入れたもので、外径が4kgの砲丸とほぼ同じ110mmになっています。

正規の3kgの砲丸は、小さ過ぎて一本の指にかかりやすく、突き指を起こしやすいが、この改造した砲丸は4kgの感覚で投げらます。

方法
突き出しの筋力アップの方法は、一般的には投擲角度に合せたインクラインベンチプレスが最も近い動きです。

マシーンは、通常は両手で斜め前方に押し出す動作をすることで、主に大胸筋、上腕三頭筋、三角筋に効かせます。

負荷
反復6~10回出来る重量にセットし、次第に重量を増やして5セット行ないますが、各セットの最終回がようやくできる負荷に設定することが最も効果があります。

効果
砲丸投げの特異性からワンハンドでの筋トレにより、突き出し時の体幹をツィスト動作(捻る)の強化を期待しています。

更にハンマーストレングスのマシーンにより、右腕で引く種目を行なうことにより、突き出しとは逆の拮抗筋を強化し、突き出しとのバランスによるパフォーマンスの確保を図ります。

注意点
左肩が痛くないときは、左右のバランスのため、左腕だけのトレーニングも行ないます。

初心者が片腕の筋トレを行なう場合は、両手によるベンチプレスで充分な筋トレを経験してから、必ず軽い重量から段階的に実施します。


2.問題動作の確認と対策

砲丸投げ選手が現状習得している投げ動作について動作確認したところ、「投げの構えがとれていない」、「砲丸を前方に鋭く突き出していない」などの問題動作を確認しました。

それらの問題を解決する方法として3つの投げ動作改善トレーニング手段を考案し、日々のトレーニング実践を通して技術的問題を改善することで、飛距離を大幅に伸ばすことに成功しました。

3つの投げ動作改善トレーニング手段は、グライドから投げの構えに入った時に、左手先を左肩よりも身体前方に残すことを身につけます。




また、右踵から投擲方向への線上に左つま先を位置させることを身につけます。

さらには、体幹に大きな「しなり」を作る動作を身につけます。

その結果、各課題は改善され砲丸投げの飛距離は大幅に伸びた。


3.パフォーマンスの研究

技術的問題のある動作を確認すると、「パワーポジションがとれていない」、「砲丸を前方に鋭く突き出していない」という2点に注目します。

まず、「パワーポジションがとれていない」ということに関して、パワーポジションの時に、左手先は、腕時計を見るように左肩よりも後方に位置させ、こうすることで投げの構えの姿勢における肩の開きが抑えられ、投げ動作の際の肩の回転に伴う加速が十分になります。

また、右踵から投擲方向への線上に左つま先が位置することが腰の回転に不可欠で、腰の開きが可能な姿勢をつくります。

なおこの時、左足の位置が投擲方向に向かって右側にある場合、腰(骨盤)の回転が著しく制限されてしまいます。

この条件を同時に満たすことが、投げ方向への「ため」を生み、力強い投げに繋がります。

しかし、KN選手の動作を見ると、これらのパワーポジションが十分に取れていなかった。

次に「砲丸を前方に鋭く突き出していない」ということに関して、前述の「ため」ができた状態で、右脚の力強い蹴りだしにより投げ方向へ右腰が出ていくのです。

これにより、突き出していく局面で、骨盤と肩の間にあります筋肉(体幹・大胸筋)に大きな張力が生まれ、全身がしなった弓のようになり、鋭い突き出しに至ります。

以上のことから、投げ動作を改善するためには 、まず、グライドからパワーポジションに入った時に、左腕をリラックスさせ、左手先を左肩よりも身体前方に残すことを身につけることです。

また、右踵から投擲方向への線上に左つま先を位置させる(Heel-Toe Position)ことを身につけることです。

さらには、右脚の力強い押し込みと、それに続く右腰の投擲方向への押し出し、並びに胸の張り出しにより体幹に大きな「しなり」を作る動作を身につけることです。

これら3つの課題が、投げ動作を改善するためのトレーニングの中で押さえておかなければならないことです。

砲丸投げの初心者は特に、技能を着実に身につけながら、一方では体力や体格の増強をしてください。そうすれば必ず上達します。